関西電力の金品受領問題の第三者調査委員会に但木敬一委員長と奈良道博委員が選任されました。
但木敬一氏の名前を聞いて懐かしく感じました。
三浦弘行九段の冤罪事件発生からちょうど三年が経ちました。当時の第三者調査委員会も但木敬一委員長と奈良道博委員でしたね。
このときの第三者調査委員会の結論は、三浦九段と日本将棋連盟執行部双方のメンツを立てるような最終結論でした。「スマホの不正使用疑惑」についての調査結果(前半部分)には妥当な結論だと感じましたが、「出場停止処分の妥当性」について(後半部分)はいまだに腑に落ちないです。当時の将棋ファンの方も最終結論が腑に落ちないと感じた方は多かったです。
郷原さんによれば、
但木氏は、現場経験には乏しくても、頭脳明晰で理解力に優れ、かつ包容力がある人だ。検討会議の際も、会議外でいろいろ話をする機会が多かったし、その後も何回かお会いしているが、基本的にスタンスが異なる私の意見もよく聞いてくれる。そういう意味では、但木氏は、社会的重要性が極めて大きい今回の関電問題の第三者委員会の委員長に相応しい人物と言える。
と、意見が違う相手の主張に耳を傾ける度量がある点を評価する一方で
但木氏自身は検事としての捜査経験がほとんどないし、奈良道博氏は、元日弁連会長であり弁護士としてのキャリアは申し分ないが、自ら調査を行った経験があるようには思えない。元東京地裁所長の貝阿彌誠氏も、民事裁判官だった人であり、自ら証拠収集をする調査を行った経験はほとんどないと思われる。
と問題に感じる点も指摘されていました。
但木さん・奈良さんの調査能力については、心配無用だとぼくは思います。
将棋ソフトの不正使用の有無について、どんな不正が考えられるのか、三浦九段以外の棋士の指し手のソフトとの一致率、三浦九段を含む関係者への聞き取り調査を丹念に行い、妥当な結論を出したと感じました。
誰も専門家が存在しないテーマについて、2ヶ月前後で結論を出して報告書をまとめることができたことに驚きました。この結論に疑義を感じた将棋ファンは非常に少なかったです。
ただし、三浦九段の出場停止処分の妥当性については、日本将棋連盟執行部に押し切られたことを感じさせる結論でした。
日本将棋連盟執行部の責任を認めれば、タイトル戦を最初からやり直す必要があることに(但木委員長も奈良委員も)腰が引けたのだと思います。
「高浜・大飯・美浜についてだけの金品受領問題だ!」なんて考えている人は誰もいません。当初、高浜の建設会社についての税務調査で発覚した事件から、
国会議員の名前が芋づる式に出てきました。
広範囲に継続的に反復的に金品の受け渡しがあることがバレれば、原発再稼動が絶対に不可能になります。三浦九段のイカサマ冤罪の時の数千倍のプレッシャーがかかる調査です。
調査を受ける側の対応として、「さすが」と思った事例。
山中教授は「無罪推定」という言葉で逃げずに、記者会見をしました。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2803B_Y4A420C1000000/
ソースが明確な盗用告発や再現可能性に疑問が呈されたら、誠実に答えるのが研究者の義務です。
「調査中であることをタテに取れば釈明しないでいい」
なんていう考え方は国際社会で通用しないです。ボヤの内に消し止めないと燎原の火になりかねないからです。
「調査中であることをタテに取れば釈明しないでいい」
なんていう考え方は国際社会で通用しないです。ボヤの内に消し止めないと燎原の火になりかねないからです。
日本将棋連盟にせよ関西電力にせよ、社会的な影響力が大きい組織です。
「調査は調査として進めつつ、調査を受ける側からの情報発信は必要だ」というのが、社会的責任を伴う地位の人間の常識的な対応です。
「調査は調査として進めつつ、調査を受ける側からの情報発信は必要だ」というのが、社会的責任を伴う地位の人間の常識的な対応です。
日本将棋連盟執行部は、第三者調査委員会で調査中であることをタテに口を閉ざしました。
関西電力の金品受領問題についても、第三者調査委員会で調査中であることをタテにして、関西電力の役員・社員・取引先に緘口令が敷かれるでしょう。
「外部からの調査を受け入れることなんて死ぬほどイヤなんだけど、外部への体面のために渋々ながら調査を受け入れた」というのが、日本将棋連盟と関西電力の本音です。
関西電力の金品受領問題の第三者調査委員会のメンバーの調査能力は問題ないと思いますが、外部への体面のために渋々ながら受け入れた調査に対して委員自身が信念を貫くことはとんでもなく難しいと思いました。
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